2019年女性とビジネスにおける3つの変化

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2019年3月7日
  • Aditi Mohapatra

    , BSR

「国際女性の日」を迎えてこの一年間を振り返り、これまでと同様に企業、政府、市民社会組織が、多くの新しい行動を起こしたことを喜ばしく感じます。 しかし、変化のスピードはまだ充分ではありません。最新の世界経済フォーラムによる世界男女格差の報告では、労働力の完全な平等を達成するには更に今後200年かかることが明らかになりました。 この報告は、より多くの継続的な努力の必要性を示しています。

昨年BSRは、新たな産業分野における取り組み efforts in new industries、ジェンダーとサプライチェーン・マネジメントについての効果的ガイダンスの開発 gender and supply chain management、そして新たなHERプロジェクト戦略HERproject strategyの導入など 、今までの取り組みを深化させ拡大することに焦点を当てました。2019年は 将来を見据えて、ビジネスが女性のエンパワーメントに及ぼす影響に変化を与えうる以下の3つの課題を追求していきます。

女性にとって“Future of Work: 働き方の未来”が何を意味するのか理解する

“Future of Work: 働き方の未来”と呼ばれる、オートメーションと新しいテクノロジーの影響が、産業全体、雇用全体、そして社会政策に与える影響についての議論は激しさを増しています。 そのような状況の中、BSRはジェンダー・レンズ(Gender Lens)を通してこれらの課題を調査するためにWomen Deliverと提携していきます。BSRは、女児の健康、社会的権利、そして幸福のための世界最大の国際会議、Women Deliver 世界会議 で、民間企業による事前会議「企業が女性のための“Future of Work”を築く方法How Business Can Build a Future of Work That Works for Women」を主催します。このイベントでは、“Future of Work”が、女性がこれまでに達成した雇用や仕事の質の向上を拭い消してしまうのか、あるいは新たなスキルや柔軟性の向上によって女性の労働参加を改善し得るかについて、企業と専門家が議論を深めます。

3年に1度開催されるWomen Deliver 世界会議は、今年バンクーバーで6月3日から6日まで開かれ、会期中は約7,000人が参加する予定です。ジェンダー平等を目指すグローバル企業と177カ国以上の草の根運動の女性リーダーや団体をつなぐ絶好の機会です。 民間企業の事前会議に加えて、BSRチームは現地でグローバル・サプライチェーンにおける女性労働者の前進に向けたHERプロジェクト HERprojectの取り組み、コラボレーションと知識共有のためのプラットフォームを提供する「女性のためのビジネス・アクションBusiness Action for Women」、そして 気候変動が女性に及ぼす厳しい事実とその対応の必要性について言及します。

人権におけるジェンダー・レンズ(Gender Lens)の活用

女性がビジネス上の様々な状況において明らかに不相応な人権侵害を体験していること、例えば、雇用と給与における差別、グローバル・サプライチェーンでの女性の役割に起因する労働権問題、嫌がらせや暴力の事例の増加など、に関して懸念が高まっています。これを受けて、今年6月これらを含む課題に関連した新たな一連の提案と調査結果が国連人権理事会に提出される予定です。

BSRの人権チームと女性のエンパワーメントチームは連携して、企業のために一連のツール開発と支援を行い、ジェンダーが人権デュー・デリジェンスに効果的に取り入れられるように努力しています。

このプロジェクトは、国連の「ビジネスと人権の作業部会」が主導しており、「企業と人権に関する国連指導原則(UNGPs)」において、ジェンダー・レンズ(Gender Lens)が効果的に活用されることを目指しています。これは、ビジネスと人権の分野で「女性に対するビジネス関連の人権侵害」の差別化された影響が充分に把握できなかったこと、また有効な救済策に訴えようとする際に、女性が更に困難に直面するという事実を捉えてこなかったという認識から生まれました。

そのゴールは、政府と企業の双方に「国連指導原則(UNGPs)の実施にジェンダー・レンズをどのように活用するか」についての助言を提供することであり、まずは行動の重要性を示す事例の提示、ガイダンスの作成、専門家を集めた解決策の取りまとめを行っています。BSRの人権チームと女性のエンパワーメントチームは、企業がジェンダーを人権デュー・デリジェンスにうまく取り入れるための一連のツール開発と必要な支援を提供するために連携しています。

ジェンダーに起因する暴力を排除する

企業はデュー・デリジェンスの一環として、職場での嫌がらせや暴力の影響と対処の方針について、より厳密に検討する必要があります。 世界的な#MeToo運動によって高まった世の中の機運は、今後、企業に直接的な影響を及ぼし、UNGPが提案する新しいジェンダー・レンズの採用だけではなく、職場の暴力と嫌がらせに関して新たな拘束力を持つ国際労働機関(ILO)条約への支持と対応までも迫ってくるでしょう。59カ国がまだ職場でのセクシャルハラスメントを防止する法律をもたないという現実に対して、新たなILO条約は職場での嫌がらせや暴力を防止し対処するために必要な、国際的に認められた基準を提供することができるのです。BSRは間近に迫った大会とそれに向けた企業による支援の機会などについて、4月17日Webinarを通じてお知らせする予定です。

職場における男女平等に向けての変化を加速するためには、上記にあげられたそれぞれの事例のようにマルチ・ステークホルダーによる取り組みが必要となります。 市民社会組織は、女性が直面している組織的な現実を明らかにし、国際標準はあるべき姿を定義し、企業は多くの女性に手を差し伸べるための解決策を実行し、さらにその活動を拡大することができます。 今年BSRは、職場を含むあらゆる場面で女性が公平性を手に入れ、エンパワーメントを達成する未来を追求し続ける中で、上記3つの課題に着目していきます。

もし皆さまがBSRと共に職場の女性をエンパワーする活動への参加をご希望される場合は、詳細について contact usまでご連絡ください。

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