11月1日に、BSRと韓国を拠点とする法律事務所のJipyong LLCが「企業のサステナビリティにおける新たなトレンド:アジアにおける人権デュー・ーデリジェンスの実践」と題したウェビナーを開催し、アジア太平洋州の企業から約200名が参加をしました。このウェビナーは 国連ビジネスと人権に関する指導原則 (UNGPs) の実施に関して理解を促進するとともに、アジアを拠点とする企業やビジネスコミュニティにUNGPsを普及することを目的としています。
ウェビナーでは、BSRのプレジデント兼CEOであるAron CramerおよびJipyong LLCのマネジング・パートナーであるSung Taek Lim氏より開会の挨拶があり、人権尊重におけるビジネスの重要な役割を強調しました。特に、ステークホルダーのビジネスと人権に関する期待の高まりへの対応として、人権デュー・デリジェンスを実施することの重要性に言及しました。
続いて、国連ビジネスと人権ワーキンググループのメンバーであるPichamon Yeophantong氏は、政府によるビジネスと人権に関する法整備と行動計画の策定および企業による人権デュー・デリジェンスの実施に対して更なる取り組みを期待していることを強調しました。外務省総合外交政策局人権人道課の企画官である松井宏樹氏は、ビジネスと人権に関する日本政府の取組みの概要について、国別行動計画(NAP)の策定から「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」の発行、公共調達プロセスにおける人権への配慮に至るまで取組みを説明しました。
ウェビナーの第一部では、BSR のディレクターであるRosa Kusbiantoroが、アジア太平洋地域における人権デゥーデリジェンスに関する法規制の進展を含めたグローバルな法制化動向について概要を説明しました。Jipyong LLC パートナーの Chang Wook Min 氏は、欧州で進展するデュー・デリジェンス法によるアジアのビジネスへの影響を説明するとともに、企業がどのように人権デュー・デリジェンスを実施してグループレベルで責任ある調達を実施出来るかについてガイダンスを提供しました。
第二部では、BSRのマネジング・ディレクターの永井朝子が、アジアの先進企業によるサプライチェーンにおける人権デュー・デリジェンスの取組みに関する議論をファシリテーションしました。登壇したキリンホールディングス株式会社 調達部 野呂葉子氏は、人権リスクの特定、評価からモニタリング、コミュニケーションに至るまで、サプライチェーンにおける人権デュー・デリジェンスの包括的なアプローチを説明しました。続いて、SK GASの ESGマネージャーであるHogene Shin氏は、サプライチェーンで特定された重要な人権課題に対処するための同社の人権リスク軽減に関する戦略と行動計画を含む人権デゥーデリジェンスプログラムを紹介しました。ウィルマー・インターナショナルのサステナビリティ部ゼネラルマネージャーであるDaphne Hameeteman氏は、関連する方針の策定からサプライチェーンの人権デュー・デリジェンスの実施に至るまで、サプライチェーンにおけるサステナビリティの取り組みについて説明しました。取組の一環として継続したステークホルダーとのダイアログを実施していることや倫理的な採用に関する研修の実施についても説明をしました。
BSR は、UNGPs を企業の戦略や事業実施に組み込む継続的な取り組みの一環として、専門家を招いた同様のイベントを今後も開催していきたいと考えています。